私を呼んでほしい
朧月
呼びとめてほしいと思った
知らぬまま行こうとする私を
踏んでしまったものからの声で
呼びとめてほしいと思った
抑えることが美と思うのかと
桜はおもいおもいに散る
だれも連れず
自分のタイミングで飛んでゆく
私の肩を抱いてくれ
夕暮れに心細くなってしまう弱さを
夜の深みにもたれて動けない甘さを
まっすぐに矯正してほしい
呼びとめてほしいと思った
こわごわと歩く私の後ろから
髪の先まで待機の色をした
私によく似たすべての者を
揃ったりょうしんの温かさで
呼びとめてほしいと思った