私を呼んでほしい
朧月

呼びとめてほしいと思った
知らぬまま行こうとする私を
踏んでしまったものからの声で
呼びとめてほしいと思った

抑えることが美と思うのかと
桜はおもいおもいに散る
だれも連れず
自分のタイミングで飛んでゆく

私の肩を抱いてくれ
夕暮れに心細くなってしまう弱さを
夜の深みにもたれて動けない甘さを
まっすぐに矯正してほしい

呼びとめてほしいと思った
こわごわと歩く私の後ろから
髪の先まで待機の色をした
私によく似たすべての者を

揃ったりょうしんの温かさで
呼びとめてほしいと思った



自由詩 私を呼んでほしい Copyright 朧月 2011-04-14 22:07:40
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