春がその鋏をもって
瑠王
春がその鋏をもって髪を切り落とすことで
年月はまるで少女でした
幼さ故に軽々しい
その唄声は温い雨
弾むような花の手を
この手で掴む術もなく
彼女は舞台袖から飛び出すと
馬を駆って行ってしまいます
決して、振り返ることもなく
何を憂うことがあるでしょう
あと半年もすればまたひとつ
夏を葬っているというのに
自由詩
春がその鋏をもって
Copyright
瑠王
2011-04-14 12:05:08