「なんのために生きて、飯を喰ろうているのでございましょうかね」と
おれのなかに住む坊主に問うたら
「ここでごちゃごちゃ言うても詮無いことです」などと
こましゃっくれたことをぬかしやがるので
「おまえそんなことだけでこの世知辛い世の中の、真昼の百鬼夜行大作戦を渡っていけるとか思ってたら大間違いだぞ」と
逆に説教を垂れてやろうとしたが
「人が生きると書いて人生、どんな世の中だろうとそれに違いはありません」などと
これまた聞いた風なことをぬかしやがって
「それならおまえは日々の暮らしに辟易したことがあるのか、明日の支払いに胃がこう、キリキリと痛んだことがあるというのか」と
ちょっと強い口調で問い詰めようと思ったら
「くわばら、くわばら」と言って横隔膜の向こう側へ引っ込んだ
仕方がないのでハローワークのホームページにでも行って
隅から隅まで閲覧ぶっこいてやろうと目論んだのだけれど
いかんせん見づらい表示なもんだから途端に眠たくなってきて
ああこんなことだからおれはいかんのだと頬をべしべし叩いてみるものの
痛くて目が覚めるなんて都合のいいことはそうそうあるわけもなくただただ痛くて眠いだけ
意地になりたい気持ちはあれど欠伸が出るんじゃしょうがねえ、なんて
誰が聞いてるわけでもないのに言い訳陳列床を整え
「整いました！」とか幾分寒くなったフレーズを呟いて電気を消して横になるとおかしなものでこれがなかなか眠れない、いやなんというかまったく眠くない、これはどうださっきまであんなに眠かったのにとあっちに寝返りこっちに寝返り、まるで米国のプロレスリングの悪役と書いてヒールじゃないかいみたいなことを思いながらどうにも心地の悪い思いをし、それなら履歴書でも書いてみましょうかと考えてみるものの一度潜り込んだ布団から出る、そんな勇気がリンリンするわけでもなく相も変わらずグダグダと眠るふり、挙句の果てには万策尽きて羊が一匹なんて数え出す始末、しかし見えない羊の数なんかそう正確に数えられるわけもなくおやさっき飛んだのは二百十五匹目だったかそれとも二百十六匹目だったかなと一瞬の躊躇の間に何匹か数え過ごしてしまい、畜生糞ったれめと毒づくうちにもはや眠気などなかったことに、しゃあないのでごぞごぞと起きだしてパアソナルコンピュウタァの電源を押すとぼんやりした明りの中でディスプレイに映るてめえのさえない面を見るのでございます、おりこうさんみたいに散髪したヘヤースタイルの新鮮さになんだか切ない気分になるってもんだ、そんでパソコンたちあげたもののハテ一体これから何をしたらいいんだろうねと自問することしきり、結局ミュウジックプレイヤーソフトなんぞダブルクリックで荒々しいヘビィメタルなんぞ内耳に注入したところ、まあ眠れないなら眠れないでもかまわんか、いまはいつでも寝たいときに寝れるんだし、なんてもはや四十にしてニートにでもなる気なんですかいと言った強引な自己肯定をするに至り、しょうがないのでニコニコ動画でガンダムとかいうアニメの声優さんがカッコよく演説してる動画でも見てスッキリして寝ようかなんて目論んでみるもなぜか最近頻繁に通い詰めている千ミリグラムへ飛んでしまいバイク事故でぶっ飛んでるタイの人とかバンジィジャンプで紐が切れて遥か下の地面に叩きつけられちゃうパツキン女の動画とかを延々何時間も見てしまっているという有様、ええおまえさん人の世の幸せなんつうものはいったい何なんだろうねなんてことを四次会のテンションのていで考えてしまったりするもの、たとえば先日インタネッツで御自身の首吊りぶらり一人旅をナマ板本番しちゃった二四歳のカレなんかは、もう逆にあれはそこそこ幸せな最期なんじゃないかなんて思っちゃったりもするのです、だってもう世界的に広まっちゃったんですもの彼の一人旅
いやまあそれで別にいっちょおれもみたいなことを考えてるとか思われちゃちょっと困るんですけどもおれはおれでなんかこうそういうある意味でのパーフェクトゥなものを求めて生きてきてるわけじゃないですか、いやいやそんな作品的な完成度なんかむしろどうでもいいもんなんですよ、いいものが出来たとかなんとかなんてそんなものいいオナネタが見つかったみたいなことと大差無いとしたもんですから、えーとつまり先だってもおれはそのことについて書いたのだけれどつまり「状況的な完成度」とでも言えばいいのかどうもしっくりこないのだけれど、状況としていかによく差し出せているのかなんてことが大事だろなんてそう思うわけでね、そんなことで先のぶらり一人旅も状況としてまあ良く出来てますわななんていうような話がしたかったわけでね、しかしこんなものはコーヒー豆の種類みたいなもんでなにをもって良しとするかはそれぞれの趣味趣向といったことでございます、余所様の色恋にケチつけるほど野暮じゃござんせんやな
ふワぁ、くだらないこと書いてたら今度は本当に眠くなってきたみたいでございますよ、そんじゃ、ここいらで…

なんだい坊主、あんたいまごろまたのこのこ出てきやがって…！