都市伝説の女
はだいろ
めったに出勤せず、
出勤してもすぐに完売、
その店の他の女の子より、
1万円も高いのに、
いわゆる大看板。
そのサービスは、
いちど体験した人はみな絶賛の嵐、
ただ、会う事は困難を極め、
はたして、存在するのかどうか、
もはや都市伝説とすら言われている、
究極の美少女。
・・・とゆう店の宣伝が、
どこまでの真実なのか、
確かめようもないのだけれど、
予約していた別の女の子が、
急にキャンセルになって、
たまたま、急遽出勤が決まったとゆう、
その都市伝説の美少女の、
予約が取れてしまったのは、
仕事場のポータルサイトに向かい、
あらゆる矛盾にひとりぎりで苦しんでいた、
午後4時過ぎのことだった。
37歳の女の人とは、
日曜日にも、
中目黒に花見へ行った。
楽しいのか、楽しくないのか、
よくわからなかった。
つきあいたいのか、つきあいたくないのか、
あいかわらず、
よくわからない。
あれから、なにも、連絡を取っていないから、
逆に、愛想をつかされたのかもしれない。
そうなると、
ふしぎに、悲しいきもちにもなる。
空は青く、
風は誘う。
どこか、とても遠くへ行きたいよ。
とても、とても、遠いところへ行きたい。
22時過ぎに、やってきた、
女の子は、
一目みて、
瀬戸内寂聴かと思った。
いや、ぜんぜん似てないし、もちろん、若いけれど・・・
なぜか、そう思った。
尼僧のようなオーラがあった。
帽子を深くかぶっていたせいかもしれない。
色が白く、
すっぴんで、
都市伝説の美少女とゆうのが、
流行りのアイドル風ではなく、
瀬戸内寂聴風なのは、
なんだか、妙に納得のいくようなきもちがした。
ボブ・ディランの初期7枚のアルバムを、
(ブロンド・オン・ブロンドは2枚組だから、
合計8枚になるのだけれど)
土曜日に、
ずっと、聴いていた。
モノラルの良さとゆうものがあるとすると、
それは、
コントロールされない、という事だと思う。
ぼくらは、なにひとつ、
実は、コントロールなんてできない。
だから、
むきだしのものが、けっきょく、
いつも新品で、
いつもいつわりがないのだろう。
あの人のことが、
ぼくは、好きになるという、
それは、
意志と勇気がひつようなのだろうか。
どんなきもちで、今夜、
あの人はいるのだろうか。
いま電話すれば、
まだ、起きていて、
たわいのない話につきあってくれるのだろうか。
通帳から引き出した、
3万8千円の証拠だけをのこして、
むきだしの魂をふれあい、
女の子は、
また、朝までのおつとめへ、
ぼくの部屋から、出かけて行った。
帰りぎわの笑顔が、
いちばんきれいだった。