春の、宴の、庭。
ズー

ひだまりを一人占めしている僕が、また、おかしな事を言ったと、
お姉さんは、にっこり笑い、手元の林檎を持ち上げた。赤々と、滑らかそうな、肌の林檎を、包みきれない、女の手、はだの色
どこか他所では花見でもしているのだろう、賑やかな日だ。
野良の鳥たちが、絡まりながら、風の沈む方角に、
跳ねて行く。
水切りをやりたいな。
卓へと置かれた林檎の影が楕円形に変わるほど、傾いていった、僕の頭、すべすべの石を撫でて。

舵取の定まらない事でした

「俺達は、女の裸をみていたいんだ
痩せても、天下一みたいな女の裸体を。
私達は男の裸をみていたいわよ
肥えても、天下一みたいな男の裸体を。
とんでもねぇな、女たち
同じでしょうに、男たち
そうか、そうでも、水なら呑めるか、それから、踊り明かそうか
いやだわ、お腹の虫が鳴いたから、土でも食べて、歌い明かすわ、私達
そうか、そうでも、麗しい、そうね、そうよね、麗しい、春に生まれて、春に没した、人の春だよ」


「林檎は?」
と尋ねてくる、
お姉さんが笑っていた
投げつけた石は
はるが、みた、ゆめの
端っこまで、跳ねて行く
僕も、なかまに
いれてくれ
春の、宴の、庭。


自由詩 春の、宴の、庭。 Copyright ズー 2011-04-13 15:19:22
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