ちょうどいいものを知っている
中山 マキ
地面が腫れるから
迷子になって
肝心な時に尻込みするから
奇妙な洋服を着ていても
目立てない
いつもの と片手を挙げる
少しだけ非日常の感覚も
見慣れた頃にはきっと肯定する
丁度いい時に会う日の約束は
今日生まれたあなたの特権
夜をカラフルに彩る
踵に羽が生えたハイヒールも
素敵だねという左手も
ちょうどいいものを知っている
物事の角度って
無意識の内に感じている
髪を染めて、爪を染めて
煙草を1本点して
何度も何度も
息を吸う
言えない言葉を吐き出すために
そうやって
ちょうどいい僕は
ちょうどいい僕を知って行く