大好きな季節
電灯虫

天を仰いで閉じた瞼に残る残滓が強くて
走り出してすぐにできる野球帽のシミ

着替えた服が重くて,着替えたての服は気持ちよすぎで
この時期だけ毎日顔をあわせる氷の工場で
冷やしてもらったミルクを食べる。

夜もまだまだ元気な雰囲気で
ベランダのすぐそこで怪談のひとつやふたつ,起きていそう。

部屋の中まで侵入しがちな陽射しに起こされるまで,
軽やかな一枚の布に乗って,
とりあえず,一晩休憩。


自由詩 大好きな季節 Copyright 電灯虫 2011-04-10 01:20:11
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