世界
青井とり
わたしだけの世界
かすかに聞こえてくる
喧騒のひとかけらも
画面のむこう
ほほえむアナウンサーも
わたしを拒む世界
ため息が漏れたとしても
それはひとりぼっちの声
下らないジョークにも
落ちのない話にも
笑える自信があるの
わたしが口角をあげると
渇いた声だけが笑う
それはひとりぼっちの擬態
まぶたを閉じるその刹那
わたしは世界になり
あなたの世界を作る
わたしはあなたを作る
シナリオを壊さないで
それはひとりぼっちの憧憬
切り離されてはいなくて
繋がってもいなくて
分かち合えたふりをして
いつからだろう
慣れてしまったみたい
鏡に手を差しのべる
それはひとりぼっちの会話
わたしだけの世界
膝を抱えて見つめている