予感
アオゾラ誤爆
うすあおい膜をつき破って
枕木の連なるほうへ舵を取る
砂のような雨が降りやんだとき
手に残ったほのかな苦みを
ずっと知っていた気がして
はす向かいの家の窓がひらいている
しめきったカーテンがめくれると
秘密めいた香水の瓶が
チカリと輝くのがみえる
足音のような予感が近づいてくる
正常のありかをたしかめる
間もなく
塗り終えなかった両手のネイル
さくらの花びらのように
風にとばされてしまいそうな
なつかしい日差しに抱かれる
黄色の車が横切って
じぶんのくちからこぼれていたのが
かなしい春の歌だと知る