咲く花のひと
恋月 ぴの
君のこと愛しているよ
って
叫べるほどに誰かを愛したことあったのかな
*
おとこの子
男のひとを「きみ」って呼ぶ
私に似合わないのは判っているけど
敢えて、そう呼んでみた
そして好きとか
愛しているの度合いを
脚の長い水鳥が干潟でも渡り歩くように
いっぱいに拡げた親指と人差し指の間で測ってみせる
ふむ、このくらいってことか
自分を愛せなければ
他人を愛することなんかできない
そんなことばがあったような
なかったような
*
あきすとぜねこ
彼の名前と私の名前で占う
好きとか
愛しているの度合い
最後のひと文字、恋人の「こ」じゃなくて結婚の「け」だったりもするらしいけど
やっぱ恋愛と結婚は別物だよね
としたり顔で頷いてしまう私がいたりして
*
今年も桜は咲いてくれるのかな
辛いことたくさんあって
涙たくさん流れて
それでもしっかと綻んでくれそうな気がする
好きなひととお弁当を拡げ
たわいも無いことで笑いあったりして
なんか良いよね
大切なことなんだものね
肌寒さも影響してるのか人影まばらな公園の片隅で
乗ってきたチャリに腰掛けたまま
好きでも嫌いでもないはずの
男友だちとの相性を
あきすとぜねこ
占いながら口元緩んでる自分自身に気付く