贈り物
電灯虫

なら、「行間」がいい。
先行する1文とその後に続く1文
その間に生まれる窪み。
文章や言葉の向こう側に置かれる感情は、
そこに潜っている。
潜水は得意な方で、肺胞一杯の息を連れて、
深くに気持ちを置いとくから、
見つける道程を楽しんで欲しい。


なら、「僕の癖」がいい。
嘘つくときの、例の癖です。
その癖を手元に置いとけば、
いつでもどこでも何でもバレる。
一部の人間にその存在をバラすなと
顰蹙買うと思うけど、
そんな高感度センサーをあげて、
自分という人間を日頃から証明します。


なら、「なんとなく」がいい。
なんとなく思い浮かべて、
なんとなく何かしてあげたくなって、
なんとなく会いたくなる。
「なんとなく」は動機として、
重くもなく、しかし決定的に
人をその通りに行動させる。
毎日をこの「なんとなく」で、
過ごさせてくれたら、嬉しくなるから。


なら、「可能性」がいい。
将来の可能性は多方向に飛び散っているけど、
あげることで1つの方向に束ねられる。
良いも悪いも可能性の内だから、
三つ編にでもして
すごく色彩豊かで極太な、
未来が引っ張れる。


自由詩 贈り物 Copyright 電灯虫 2011-04-02 21:43:48
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