僕らの失敗
小川 葉



あるひきみは
ねむらないことにした

さみしくなったら
おいでよ
いつでもきみを
なぐさめてあげるから
と、いって

なぐさめられるりゆうなど
そのときぼくにはなかったけど
あるよる
ほんとにおきてるのかよと
きみのいえをたずねた
するときみはいた
めをあかくして

きみはコーヒーをいれてくれた
よあそびはきらいではなかった
ぼくにとって
それはおもしろいことだった
べんりだな、って

あるよる
ぼくがねむっていると
きみはぼくのアパートの
とをたたいた

コーヒーをいれてあげた
そうするよりほかなかった
きみはべんりだなと
ぼくにいった

やがてなみがきて
のまれていくまちをみていた
きみはいった
ぼくらみたいに
べんりになればよかったのにね

ぼくはきみのべんりをひていした
けど、おそかった
でも、まだまにあうきがした

しぬよりも
いきていることが
しあわせではないのかと

きみにいうと
きみはへやのかたすみで
それでもあかりをけさなかった

だからぼくがけした

そとにともる
あおじろいひかりは
けすことが
できなかったけど



自由詩 僕らの失敗 Copyright 小川 葉 2011-03-30 21:02:13
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