てのひら
nonya


いろいろなものを
誰よりも多く掴もうとして
硬くなってしまった
てのひらの
欲張りな力を
少しずつ緩めてみよう

うっかり掴み損ねたものは
そのまま放っておけばいい
本当に必要なものなら
また戻ってくるから

いろいろなものを
出来るだけ受け止めるために
握り締めたままの
てのひらを
しなやかな意志で
思い切って開いてみよう

嫌いなものや不得手なものも
一度はてのひらの上にのせて
本当に要らないものだけ
後でこっそり捨てよう

いつか僕のてのひらが
もっと柔らかくなったら
誰かと手をつないで
花を見に行こう
キザな形容詞をつけずに
安っぽい感嘆符をつけずに
誰かのてのひらを
少しだけぎゅうっとして

同じ花を眺めながら
手を翳して
肩を叩いて
手招きをして
指を差して
もちろん手をつないで
てのひらに言葉と笑顔を添えて
季節を語り合おう

いつか僕のてのひらが
もっと柔らかくなったら

いつか僕のてのひらが
もっとしなやかになったら





自由詩 てのひら Copyright nonya 2011-03-29 19:55:30
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