きしべ
はるな
辿りついて
おもうことは
辿りつきたくなんてなかった
行きたい場所に
行きたいときに
自分で行きたかった
流れついて
おもうことは
流れつきたくなんてなかった
おおきなものが
おおきな腕で
たくさんのものを押し流した
行き着いて
おもうことは
行き着きたくなんてなかった
どこにも行きたくなんてなかった
どこにもいたくなかった
どこでだって生きたくなかった
どこにいてもいたくなかった
辿りついて
おもうことは
ひとつだけ
辿りつきたくなんてなかった
そう思っていた
十七才だった
自由詩
きしべ
Copyright
はるな
2011-03-29 03:34:55