[芽なし種]
東雲 李葉

芽の出ない種に水をやる
花が咲かない鉢を見下ろす
隣の芝は相変わらず青々茂っているけど
繰り返すことで報われるならどんなにいいだろう
腐らずに走り切れる人はすごいねと
褒められたのはまだ歩みの小さい時で
近ごろはいくつ賞を獲ったとか
賞賛とはまさにそういうことだとようやく気付いた
何度も何度も欲しい物を叫んでいる
数えきれないなんてとんだ欲張りだ
認めてほしいよ確かにここにいること
例え根なし草の種だとしても

芽の出ない種に水をやる
花が咲かない鉢を見下ろす
忘れた頃にひょっこり生えてこないかな
恐らくずっと忘れられないんだろうけどなあ


自由詩 [芽なし種] Copyright 東雲 李葉 2011-03-28 14:50:26
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