めでたし めでたし
ホロウ・シカエルボク




むかし
むかし
あるところに


それはそれはたくさんの
こどもをかかえたおうちがありました


おじいさんと
おばあさんと
おとうさんと
おかあさん
それと


かぞえきれないほど
たくさんの
たくさんのこどもたち


おじいさんも
おばあさんも
おとうさんも
おかあさんも
みんなげんきいっぱいで
ばりばりびりびりはたらいて
たくさんのこどもたちに
ごはんをたべさせたり
おふろにいれてあげたり
おんどをいっていにたもってくれたり
はうすだすとをじょきょしたり
いろんなこうつうきかんをつかって
しごとばやがっこうにおくってくれたり
あかるくしたり
むーどをだしてくれたりと


それはもう
いろんなことをしてくれました


とてもやさしい
おじいさんと
おばあさんと
おとうさんと
おかあさんでしたが


なぜか
むかしのことは
はなしたがらないのでした
そう
ちょっと
わけありなひとたちでした


かぞくは
ながいこと
しあわせに
くらしていましたが
あるひ
おじいさんも
おばあさんも
おとうさんも
おかあさんも
みんな
いっぺんに
じこにあってしまい


あたまが
おかしくなってしまいました


みんなして
とつぜん
おこりだして
すごいちからで
あばれはじめ
いえのなかは
めちゃくちゃになりました
それはそれはひどいありさまで
こどもたちのなかには
いのちのきけんをかんじるものもいました
おじいさんと
おばあさんと
おとうさんと
おかあさんは
あばれながら
おもらしもしました
そのふんにょうには
でんせんびょうが
かくれていました


こどもたちは
たくさんのいしゃをやとって
よにんをなおしてもらおうとしましたが


でんせんびょうのそんざいが
あきらかになったとき
いしゃに
こういいました


「みんなころしてください」


いしゃたちは
ふくざつなきもちでした
ちりょうちゅうに
でんせんびょうに
やられたなかまもいたのです
でも
しかたがありませんでした


いしゃたちは
すべてのちりょうをやめ
よにんをころしました
そして
でんせんびょうにかかった
なんにんかの
こどもたちやなかまもいっしょに
もやして
すなはまに
うめました


しばらくして
あたらしい
おとうさんと
おかあさんが
やってきました
わけありでもなければ
でんせんびょうもない
くりーんな
おとうさんと
おかあさんでした


めでたし
めでたし。





自由詩 めでたし めでたし Copyright ホロウ・シカエルボク 2011-03-28 06:41:30
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