まんじゅう
小原あき

「当たり前」の皮を剥くと
「ありがたい」の餡が出てきた
わたしはその餡だけ食べた


ある日
わたしは餡をこしらえた
一晩水に浸けて
ゆっくりゆっくり煮て作った
傑作の餡を
「当たり前」の皮に包んだ


それを
なんてことない風を装って
配り歩いた


誰か
皮を剥いてみる人があるだろうかと
少し期待しながら








自由詩 まんじゅう Copyright 小原あき 2011-03-26 13:57:01
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