フライパン
Tsu-Yo
きみはキッチンに立って
フライパンで喋りはじめる
押したり引いたり
きみが規則正しく振るたびに
フライパンが言葉を紡ぎだす
それは、
「美味しいですよ」とか
「残さず食べてね」とか
そんな、
誰かに向けられた言葉じゃなく
きみがきみ自身に
語りかけるための言葉
たとえば
詩人が紙のうえに書いて消した
最初の一行のような
自由詩
フライパン
Copyright
Tsu-Yo
2011-03-25 20:19:51