明日のない部屋
月乃助
瓦礫のやまにゆきが積もる
毛布をまとった老婦
明かりをとざされた夜の 白い息
あなたは、そのすべてを可哀そうだという
ここには明かりも暖もある
温かな食事も好きなだけ使える水も
重湯を一日にふたくち
500ccの生理食塩水でいきる
ビルの景色の部屋に
ただ横たわりながら
ここは安全だと
天国だと
ありがとうと言う
わたしは、明日がこなければと願い
残された日がけずられないように
なくなることを恐れながら
おはようという朝をむかえる
あそこにも
壊された町にも
またひとつ 朝がやってくる
大丈夫
北の国の人
あなたがたには、苦しみほどの未来がある
終わりのない
明日があるのですから