形骸
構造
いくつかの災厄のなかで
わたしは書机の下で頭をかかえておびえ
くらやみのなかで
あらゆる醜態をさらした
偽善と臆病とともに怒りを
蛙と虻のあと
彼らは過ぎ去ったように思えた
瓶につめられた手紙がいくつも浮かんだ
そして最後のいなごのあと
子らは逃げ去っていった
河は静かにもどることなく流れていく
おまえらは未来とともにあれ
おれたちはすべて
かつて行われた営為の
ほほえみやあきれはてた悪徳の
かつての形骸とともにあろう
すぎさったもの、もどってこないものどもの
ざわめきとほほえみとともに
たとえおれが灰のなかにいようとも
重い雪のなかにあろうとも
ゆくさきのない旅人たちが流転しつづける
ただそのことのみをながめながら
おびえるがいい
おれたちはただあきらめる
ただ数日前のむくろとともにあり
今朝の土埃を舌に感じ
わたしがただ形骸をいだくかぎり
それはわたしの街だ
そして神のねじまげられた魔力によって
この世では潮がさかのぼることもあるのだ