おっぱい
草野春心



  おっぱいは最後がいい
  まずはくちびるからがいい
  それからうなじの匂いを嗅いで
  おなかの温度に埋もれるのがいい
  おっぱいは最後がいい
  まるでそこに興味がないように
  それ以外の部分を楽しむのがいい
  ぼくのことをフェチズムの塊だと
  信じ込ませなければいけない
  本当はほんの子どもだということを
  けして悟られてはいけない
  おっぱいは最後がいい
  おっぱいは逃げたりしない
  いきなり金属になったり
  爆発してしまったりはしない
  急いではならない
  しかるべき時間をかけて
  敬意を払わなくては
  たとえ途中で
  ぼくかきみが死んでしまうとしても
  あるいは世界が終わってしまうとしても
  おっぱいは最後がいい



自由詩 おっぱい Copyright 草野春心 2011-03-21 23:17:11
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春心恋歌