憧憬
はるな
あの日
はみだして
不自由だった
あの日
なにもかも与えられて
不十分だった
あの日
とかげのしっぽは
やさしかった
迷子になった路地で
迷いはなかった
あの日
太陽も月も
ひとつしかなかった
あの日
ひねくれて
渇いていた
あの日
木蓮が咲いていた
遠すぎて
かなしかった
あの日
なにもなくさなかった
あの日
はみだして
不自由で
不十分だった
あの日
木蓮が咲いていた
自由詩
憧憬
Copyright
はるな
2011-03-21 20:46:10