一日の終わりのエイリアン
……とある蛙

曇り空の夕陽は
やけに朱色の粉っぽくて
窓から見える景色が
変にくすんでいます。
日がな一日床に入って
分かりもしない本を読んだり、
他人の不幸の報道を
リバイサンから御裾分けしてもらって
ますます妄想が後頭部に溜まりだし、
ふと鏡を見ると地球外生物のように
妄想で後頭部が膨れ上がり
イモムシの腹の様になって垂れ下がり
しゅうしゅう しゅーしゅー
って 鏡の中で言っていました。

地球外生物と化した僕は
誰が憎い訳でも無く
誰が嫌いな訳でも無く
ただ食らいつく敵が欲しくて
女房に向かってシュウシュウしたら
こっぴどく叱られて
トイレに逃げ込んで
プレデターをやり過ごしたのでした。
しかし、すぐに見つかり
眠りにつくまでひどい嫌みを囁かれ続けました。
ひどく幸せな一日の終わり方です。
できれば
女房より先に死ぬ時も枕元で
散々聞かされるとうれしいのだが
っと ますます変な妄想が始まり

とにかく 変身してからも
家族が近くにいる感じが
無性にうれしい地球外生物なのです。


自由詩 一日の終わりのエイリアン Copyright ……とある蛙 2011-03-21 16:25:42
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