ルクトさん
ふるる

ルクトさんの住む家
から見える
パッチワーク的な畑
風が吹いている
鳥も二、三羽

屋根は赤い色
瞳は茶色
たまにやっている
散歩など

太陽がどちらへ沈むか
月がどこからひょっこりするか
あずかり知らぬところ
ではあるが

ルクトさんの明晰な頭脳は推理する
恋人のいる方角であろうと

さても春はすぐ後ろ
の隣のやや左
そういや春には蝶が舞うが
キャベツから生まれてくるように見えて
ならない

ルクトさんは洗濯をする
汚れとはつまり有機物であり
衣類も有機物であるからして
両者にさしたる違いはあるまいに

ところで
雲はパンや綿菓子に例えられる
水や氷の粒としては無類の喜びだろう
比喩とはつまり
関心である

ルクトさんの住む家
から見える道を遠くから
ナンさんがちまちまトコトコ
あるいてやってくる

あまりにもゆっくりゆっくりした動作
ではあるが
ルクトさんは気にならない

また、小さな悩み事でもあるのだろう
あるいは
夕べの月はバターをたくさんぬったパンケーキのようだったと
言うのだろう


自由詩 ルクトさん Copyright ふるる 2011-03-21 12:44:44
notebook Home 戻る
この文書は以下の文書グループに登録されています。
?不思議シリーズ?