ひとつぶ
nonya
君は
ひとつぶ
哀しみを
螺旋構造に宿したまま
この世に零れ落ちてしまった
ひとつぶ
君は
ひとつぶ
喜びの
光にくすぐられて発芽し
言の葉の二葉を広げてしまった
ひとつぶ
希望の幹を伸ばして
後悔の根を隠して
好奇心の枝を増やして
誰かの木陰を作ろうとして
懸命に背伸びをするけれど
何処にも届いたことがない
いくたびか花を咲かせて
いくつかの実をつけて
為す術もなく季節を見送って
それでも笑顔を作ろうとして
懸命に枝葉を繁らせるけれど
すべてが伝わることはない
君は
ひとつぶ
わずかな風にも
言の葉をそよがせてしまう
君は
ひとつぶ
ささやかな雨にも
言の葉をうつむかせてしまう
君の哀しみの
色は分からないけれど
君の哀しみに
ずっと寄り添うことはできる
僕も同じ
ひとつぶ
だから