ひとつぶ
nonya

君は
ひとつぶ

哀しみを
螺旋構造に宿したまま
この世に零れ落ちてしまった
ひとつぶ

君は
ひとつぶ

喜びの
光にくすぐられて発芽し
言の葉の二葉を広げてしまった
ひとつぶ

希望の幹を伸ばして
後悔の根を隠して
好奇心の枝を増やして
誰かの木陰を作ろうとして
懸命に背伸びをするけれど
何処にも届いたことがない

いくたびか花を咲かせて
いくつかの実をつけて
為す術もなく季節を見送って
それでも笑顔を作ろうとして
懸命に枝葉を繁らせるけれど
すべてが伝わることはない

君は
ひとつぶ

わずかな風にも
言の葉をそよがせてしまう

君は
ひとつぶ

ささやかな雨にも
言の葉をうつむかせてしまう

君の哀しみの
色は分からないけれど
君の哀しみに
ずっと寄り添うことはできる

僕も同じ
ひとつぶ
だから




自由詩 ひとつぶ Copyright nonya 2011-03-21 11:17:08
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