さんがつ
あまね

星の群れのつながりをちいさく真似て
思いをつらねる青い花たち
生ぬるく雨がふるたびに
ふくらんでいく
胸いっぱいに
いとしい
かなしい

思い出を捨てにきた旅路で
思い出をいくつもひろう

冬の稜線に収束した痛みから
作りかえられ
春へと産み落とされる宝石たち
いとしい
いくつも
かなしい
何度でも

ささやかであるがゆえに
もっとも敬虔にかなでられる歌たち
痛みにはじまり
悲しみを経て
喜びへと
空をのぼっていく
かけがえのない
かがやきで
にじんで
土から空へ
やがてまた土へ
なきがらからしみだした涙が
あたらしく作られた身体へと
受け継がれる
誰に見せるわけでもない
ちっぽけであるがゆえ
最も尊い儀式

世界の端っこにあるぼくの中心は
ぼくの端っこにある世界の中心と
おなじ
光と水と土とから組成されて
いまここにこの身体としてとどまる喜び
導きだされた
古の暦のとおりに

星たちのつらなりを夢見て
新しく燃える
青い命の

願い


自由詩 さんがつ Copyright あまね 2011-03-20 15:49:33
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