1935
吉岡ペペロ

きのう遺書を書いて警視庁に集まった僕らは

福島で集結した自衛隊の方々といまそこを出発した

現着し東電社員から教えて貰った知識と図面を目で確かめてゆく

そして爆発の影響を図面に書き込んだメモと照らし合わせた

青い月でも出ているかのような光の中に破壊された建物が浮かんでいる

空手部の顧問から夕べ生きて帰って来いよと肩と腰を抱きしめられた

放射線が強すぎて断念した自衛隊のあとを受け僕らがゆくことになった

砂漠から砂金をさがすのとは逆の行為だった

作戦は砂金を撒いて砂漠をエルドラドにすることに似ていた

だから作戦エルドラドは1935実行に移されたのである


自由詩 1935 Copyright 吉岡ペペロ 2011-03-18 13:38:54
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