名もない魚
小川 葉



つなみでうちあげられた
なもないさかなも
ひさいしゃの
ひとりなのだろう

なもない
さかなというなの
さかな

しかしそのさかなにも
ちゃんとなまえがあって
あのうみのむこうで
くらしていたのではないだろうか
かぞくとともに

きえてしまった
うつくしい
かいがんのまち

さかなをうみにかえす
きりょくもなく
どろのうえでいきたえるのを
ひとはみていた



自由詩 名もない魚 Copyright 小川 葉 2011-03-15 19:05:27
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