つま先が冷える
はるな


整えられた部屋のなかで
足をそろえて座っている
でもつま先が冷えるのは
仕方のないこと

海や山や空をゆめみて
窓の近くに立っている
ほそい雨が降り出して
つま先が冷える

たとえば
わたしでないひとのつま先が
ここで冷えてるなら
そんなことあっていいはずがないと
わたしは怒るんだけど
わたしのつま先が冷えるのは
仕方のないこと

この部屋には
なんでもあるはずなのに
誰もいない

洞窟へいきたいな
しっとりした岩肌
うす暗い洞内には
きちんとした夜がむかえにくるだろう

ここではない別の場所では
ちゃんと透明な波打ち際に
ちいさな子どもたちが群がって
手順どおりに肌を濡らすだろう

そういう場所へいって
冷えたつま先を
氷のなかにざぶんと突っ込みたい

でもそれはここではないから
整えられた部屋のなかで
つま先が冷える



自由詩 つま先が冷える Copyright はるな 2011-03-10 19:29:13
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