冬の窓
石瀬琳々

冬の窓押し開けとおく空を見る瞳をのぞく異端者のごと


言葉いまだ伝えきれずくちびるを噛む、ただ強く血が通うよう


口寄せてささやく夢よ火と燃えてこころに満ちる雪は今しも


いたずらに Сердце моё 言葉だけが降り積もりふる冬の森にて


たましいの発芽する庭光浴びいつかどこかでめぐり逢う春


声とおく窓開け放ち飛び立てる渡り鳥より天使よりなお


赤い花あかいあかいとくちびるでころがしあそぶ恋のこころよ


ガラス片ふるわせ届くこの痛み文字に声音にくちづける朝


赤い花胸にこぼれてほろほろと痛く恋しく春を知っている




短歌 冬の窓 Copyright 石瀬琳々 2011-03-10 13:47:13
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薊道