光のなか
月乃助

それはもうどこまでもはてなく

雪の原なのか それとも 雲海なのか

もう わたしの目には、区別がなくて

光をもとめれば

中空にむかうほどに 罪をとう青天は

くるしいほどに はりつめた 天刻模様

生をいとなむ人間をせせらわらう

わたしは そこに母をみたのです

ひとり歩く姿は みなれた くたびれたブラウスの小さな背

光をすう縁取りの 白さをますクレバスが、

いびつな口を広げ人をさそう

運命をのみこむ 黄泉の入り口の

群青色をみせる影に はらはらと

その奈落に母が落ちてしまわないように

閉ざされた楕円のガラスに額をおしつける

誰もにおこることのない 奇跡というものを

母だけにはゆるされる身勝手を

わたしは手にいれようともがき始める






自由詩 光のなか Copyright 月乃助 2011-03-10 09:57:54
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