Make up your sensation
乾 加津也




微苦笑にはじまり
ひとりの陸橋では熱情も凍えた

たったひとつの決断に足元を掬われたまま
わたしの喉は脱落者たちの手であふれかえった
狂おしい
開放に訣別する自由を気取りはじめる浅はかに
高さ。と 慎み。とで
これからをどうすればいいのか

“やさしい 日暮れだわ”

“きみのまなざしについても”

踏みしだかれた ためらいが
あやす
彩り
ほたりと
月の栞のように滞り
かすれちぎれる東雲にだかれてなおも しな垂れる
未亡に吹く はるかな香しさなら
(貴い椅子たちの
 ならぶ還りをひとりみおくることも
 できるのに)



それからの痕跡よ
やはり
干からびにゆく水もようよ
“あきらめは、古い順から”
“正統的な敗北なら、あるいは”
そっと
わたしはわたしに
つめたく震える
さびしい瞳(め)をあげた
過去(むかし)にすっかり
遺れられるところだった





自由詩 Make up your sensation Copyright 乾 加津也 2011-03-09 23:17:20
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