春風
ボトルシップ

線路沿いの桜並木は君の町へと続くから、いつだって居心地が悪いんだ
ティッシュの山に埋もれた初恋を掘り返しては苦笑い
背の低い僕より背の低い君のことを誰より愛おしく思ってた
大好きな人にも必要とされない存在に、値段なんて付くのかい?
今こそ桜前線に飛び乗って君の町へと最前線
「自分がガキだって分かるくらいはガキじゃないんだぜ」
ガキの僕はほざいてた

君は全身トゲだらけ、かまわず抱きしめた僕の体は穴だらけ
青いゼリーで埋めてくれよ今すぐに
とぼけてる場合じゃないんだ急がなきゃ、この季節が終わってしまう
桜前線に飛び乗れば、君の家はすぐそこさ
「衣替えが苦手な僕たちは、年中風邪を引いてるね」
あと少しの勇気を、くれ、くれ、くれ

春の来ない僕の町に咲いた桜は実を結ぶ?
記憶の中の消えない笑顔が
君の町にも舞い落ちろ


自由詩 春風 Copyright ボトルシップ 2011-03-09 22:50:40
notebook Home 戻る