True Blue
ホロウ・シカエルボク




カーボン紙に
まるめた銀色を
叩きつけたような
激しい空の下で
ぼくたちは
15回めの
約束のしかたを確認した
あれは
冬の日だった
たしか
冬の
寒い夜おそくだった
言葉が
凍りついて
記憶に
なるような
そんな
寒い…


誰かの靴音が
風に
流される堤防沿い
ハローとグッバイが
長い雪の中で
終わらない夢に還って
きみは
まぼろしだと
言ったんだ
なにもかも
すべて
いつ
出来上がるか
判らない
教会に流れる
賛美歌を
待ちわびるようなものだって
氷に変わりながら
流れる河が
揺れるアンクレットの
ような
小さな
音を何度か立てて


時計の針が一瞬で
何回転もしたみたいだった
世界が
ぼくを
振り払ったんだと
そう思った
たくさんの
車の
エンジンが
耳に飛び込んで
かたかたかたと
乾いた音を立てた
踏み込むアクセルなんかないのに
なぜ
なにを目指して
どうして


そんなふうになにかが
とても
急いていたけど
ぼくはずっと立ち止まっていた
出来れば
そのまま
氷になってしまいたかった
生きてることは
ときどき
なんの役にも





たたない






言葉が
凍りついて
記憶に
なるような




そんな。




自由詩 True Blue Copyright ホロウ・シカエルボク 2011-03-09 06:43:26
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