青春謳歌
電灯虫

男にとって

夏といえば
隣の女子の肌の表面積。
暑くてうなじがさらされていれば
そこから首へ
首から腕へ
腕から未だ完成知らずのくびれ未満へ
くびれ未満から足へは,休み時間に密かに確認。

夏といえば
やっぱり汗。
蹴り球や投げ打ち球に興じて流れる汗も,
愛するアイドルのグラビア掲載の雑誌を買いにいくのに必死に坂下ったときの汗も,
早めの青春に流れた水分。

夏といえば
定番の夏の恋。
好きなのが周りはもちろん本人にも,知らずに知れ渡っていた濃い目の恋心。
朝会のときに隣のクラスで列なす彼女が
すぐ側で僕を確認できているはずなのにひそひそと,
別の男が居座る,別件の恋の相談。
直接的なのか間接的なのか,未だ判明し難いあまりにも高度な振られ方に
書いて読み直す今も涙で濁るディスプレイ。


こうして読み返れば,「あなたの青春の半分はいやらしさでできている」と
銘打ってしまってもよさそうだが,
それでも愛しの,
そして
共感できるはずです,そこのあなた。
嗚呼,漢達の青春。


自由詩 青春謳歌 Copyright 電灯虫 2011-03-08 21:54:06
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