壁」「新開地から
アラガイs


)夕暮れの埋め立て地には工場が立ち並び
渋銀色に改装されたフォルム
いつのまにか潮の匂いは消えていた
聞きなれない」庭のブロックが悲鳴に聞こえるのは
蹴り返している少年のボールがあまりに硬かったから
「苛ついている
壁を置き去りにしたまま

そこは
海風にいつも空気が抜けていた
的は垂直のダイヤモンドベース
投げつける(むにゃむにゃ)のゴムボールはぶつけても平気だった
皮の剥げたサッカーボール
―土埃―平面の跡
薄汚れた底厚い壁は「ガガ」覗けば、あかい藻はどこにでもあったような気がして
(受けとめてやれない
わたしがここにいる
)。

遠く
/潜航に/釣り舟は揺れ
瓦礫砕ける
海砂と裸杭の波音響きわたれば
子供たち遊ぶ空き地から庭先にも
モルタルで固められた屈強な塀と
剥き出しの生コンクリートから
)面影)はや雲は過ぎて
/流れず
(殻)立ち止まる側線に
‖‖‖‖‖そのむかし
‖‖新開地だった
‖真砂に眠る白い貝殻の群れ
きっと夢に沈んだ儚い場所だと
層深く埋め込まれたモップの柄/空たかく
)描いては、掃き、
、消し、
また、眺めては、いつかあの山の頂きを追い越せるモノだ、と
そう
( 信じていた
)。







自由詩 壁」「新開地から Copyright アラガイs 2011-03-07 04:54:45
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