雲の裏側
朧月

白い雲を丹念にめくってゆくと
そこには地球があるのでした
青いのでした
私の指先についている雲をひとなめすると
口の端から一筋の液体が(ヒトの想いといふものではないか)
こぼれおちた

てんてんてんとじめんにはある
足跡が 人跡が
追ってゆくと必ずあるのでした
民家でした 巣でした
こんもりとした屋根をめくってみると
やはりなんらかの液体がついてくるのでした
(私の指先はトウメイか)

わたしというわたしは
だれが生み出したか を かんがえてみると
この生い茂った木々ではないか
と いうのも
母や父や祖父母や そのまた先の方々でさえ
この木々の生い立ちを知らないのであったから

白い雲が眠る夜の空を
丹念にめくりながら地球を確かめ
きこえぬ風の音にゆれる木々の葉を
ただ ながめ自身の明日を今日も占う



自由詩 雲の裏側 Copyright 朧月 2011-03-05 22:36:15
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