傷
小川 葉
もう
わかれてくれないか
きずがつくまえに
わかれてくれないか
そうすれば
きずはつかない
そのきずだらけの
こころに
もう
わかれてくれないか
そんなしあわせのありかたも
あるのかもしれなくて
わかれてくれないか
きぼうのように
きみにいう
つまよおまえを
あいしていないわけではない
わかれてくれないか
あいしてるからこそ
きずがつくまえに
+
たまにはむすこに
あわせてくれ
きずはみえないように
わらうから
さいこんは
しないでほしいけど
おれはゆるす
ふたりがしあわせになるのなら
+
あれからさけもたばこもやめて
きずもちゆした
あさろくじにはおきて
よるくじにねむる
そんなひとりぼっちの
みらいがみえるようなきがして
なにをおいかけていたのだろう
あのころのぼくは
+
あたりまえのくらしをするために
あたりまえのくらしをすてる
そのさきに
きっとあるのだとしんじて
たしかにある
すこしさみしいせかいだけど
あたりまえのくらしをするために
ぼくはまたとおいところにいく
+
きみのてくびに
きずがあった
ぼくがつけたきずだ
じっさいに
それはなかったけれど
ぼくはきみのてくびを
いたくないようにさすり
そしてみなかった
+
りこんとどけがあった
まだけっこんもしないうちに
してみなければわからないことも
はじめからそこにあるのだ
たとえそうなるかもしれないことが
あるのだとしても
しゅにくにみたされたちが
きみのちだとしても
+
ゆるしてください
きみにいおうとしたことを
ゆるしてください
きみにいうべきだったことを
いえなくて
あすもかわらないひびが
くるとしんじています
こいをしましょう
ひさしぶりに
りこんとどけは
やぶいてすてました