夜明けの人
塔野夏子

夜明けの人よ
この胸の彼方の青い丘に立ち
おそらくは私を待っているのであろう
夜明けの人よ

あなたのもとへと
私は行きたい
けれどそれにはまだ
私が過ぎ去らねばならぬもの
私を過ぎ去らねばならぬものが
幾重にも残されているのを
私は感じる

私は間に合うだろうか
私がいつかその丘をめざして歩きだし
そして辿り着く頃
あなたはまだ そこで待っていてくれるだろうか

もし間に合わないとしても
私はずっといだきつづけるだろう
胸の彼方の青い丘に立っている
夜明けの人よ あなたの姿を





自由詩 夜明けの人 Copyright 塔野夏子 2011-03-03 20:15:39
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