ぎっくり腰
……とある蛙

それは突然舞い降りてきた
何の前触れもなく歌もなく
楽しさの全てを食い尽くすため、
僕の身体に入り込んだ。
それは少しの疼痛で
全て揃った腰のパーツの
どこかにスーッと入り込み
きっとどこかを食い荒らしたのだ。

寝ているときはそうでもないが、
起きるに起きられず、座るに座れず
立ち上がろうとしても
どこか腰のパーツの欠落感
痛みが走り身体が固まり
歌舞伎役者じゃあるまいに
誰見るわけもなく見得を切る。

そのまま座るわけでもなく
向きを変えて両手つき
ごろんと横になっていても
起きる辛さを考えて
少し半身でテレビ見る。
見ているテレビが漫才で
思わず笑うと片腹痛い
文字通り片腹痛く腰痛く
イテイテイテテと叫んで見得を切る

他人に言っても含み笑い
大丈夫ですかと声かけられても
心底心配するでもなく
やれ 腰を温めれば三日で治る
やれ静かにしてればすぐ治る

見得を切ってる当事者の
気持ちを逆なでするばかり
長年連れ添う女房さえ
何オーバーな痛がりや
自分のことだけ深刻なのね
私のヘルニアどうするの

手術するような病でないが、
これから幾度もお付き合い
綺麗な子なら
まだ我慢もするが、
身体固める悪魔の侵入

医者はたった一言宣った
急性腰痛ですが
………
何か?
っっう〜


自由詩 ぎっくり腰 Copyright ……とある蛙 2011-03-03 15:45:27
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