チャーリー
ズー

体の大切な部分から
どんどん小さくなる
チャーリーは今、
暖色系の床の隙間に
私には見えない
1ミクロンの狭間に
残されていた最後の
チャールズが
落ちていくのを
眺めていました。


チャーリー、第二幕の
後半に黒髪を挟むよ
私、あなたの名前を
取り出せないから
小指を置いて
「ここが好きです」って
みぶり、てぶりで、
第二幕に知らせます。


裂け目の淵に突っ立て、
チャーリーは
叫んでいた。
「おーい、私の名前よ」
「聞こえないのか」
「チャールズよ」
「私の、兄弟よ」
「聞こえないのか」
「応えておくれ」
「もう、喉が痛いのです」その叫びは
裂け目の始まりで
チャーリーの真下で
直ぐさま、さめて、
山高帽子から
覗いていた
チャーリーの、
抜け落ちていく一本の
黒髪に絡まりながら
闇に吸い込まれていった。


「やあ、やみ、やあ。」
目が合ったら
挨拶をするのは
常識なのに
やみったら
今でも闇を
嫌うのよ。
目が合ったからと
暴力を働くのは
どうしたって
非常識なのに
そこら中を
手当たり次第に
見境なく
やみったら
幼いから
だから、やみ、なんて
嫌いです。私たち、


1ミクロンの
奈落の底では
チャールズが
死にそうです。
「チャーリー」
「待っていろよ」
「今夜中に向かう」
「だから、チャーリー」
「そこにいてくれ」
チャールズは
みぶり、てぶりの
チャールズの喜劇に
心から、息が
止まりそうでした。


私、チャーリーも
チャールズも嫌いです。
可愛らしいけど
ふざけていて、
どう、致しまして
とか、言いそうで
そういう事を
終幕に知らせると
私たちの革靴が
とんでもない暗闇の
歓声のなかで
腹を抱えて
よじれていった
チャーリーに
おける、
終幕にて
私たちの足が
さめていく

三つ隣の男が
立ち上がって
こう、叫んだ

「チャーリー!」
「ばんざい!」


自由詩 チャーリー Copyright ズー 2011-03-03 13:04:27
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