悲しみ
未有花

乾いた大地に
夏の厳しい日差し
しおれてしまった花に
水をひとしずく下さい

*

空っぽになった部屋で
なくした希望を探す
仕方がないと言いながら
耳障りなため息を吐く

*

傾いた影を追いかけて
名もない街をさまよう
知らない誰かの影法師
見失った夕暮れ

*

欠けて行く月の下で
鳴り響くオルゴール
沈んで行く水底
見えなくなった光

*

重ねた手をわざと放して
泣かせてしまったあの子
幸せにしてやりたかったと
惨めな言い訳をして

*

貝殻を耳に押し当て
懐かしい歌を聴く
静かな潮騒の音
満ちて行く悲しみ


自由詩 悲しみ Copyright 未有花 2011-03-03 09:52:10縦
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