この糸のさきを
吉岡ペペロ
この糸のさきを
だれもが放してしまった
糸のかわりに
だれもは棒で突いてきた
棒を糸だとつかんでみても
からだは痣だらけになるばかり
この糸に風が吹くのを
じっと見つめてなにかいいこと
ないんかいなと楽天的なものだった
中二の秋だった
中三の梅雨だった
高一の夏だった
高二の秋風に
電車からおろされると吹かれていた
この糸のさきに
だあれもいない冬だった
みんなじぶんが主役で
みんな正しくて
揉めごとばかりがわんさかあった
この糸のさきを
だれもが放してしまった
糸のかわりに
だれもは棒で突いてきた
棒を糸だとつかんでみても
からだは痣だらけになるばかり
この糸に風が吹くのを
じっと見つめてなにかいいこと
ないんかいなと楽天的なものだった