この糸のさきを
吉岡ペペロ

この糸のさきを

だれもが放してしまった

糸のかわりに

だれもは棒で突いてきた

棒を糸だとつかんでみても

からだは痣だらけになるばかり

この糸に風が吹くのを

じっと見つめてなにかいいこと

ないんかいなと楽天的なものだった


中二の秋だった

中三の梅雨だった

高一の夏だった

高二の秋風に

電車からおろされると吹かれていた

この糸のさきに

だあれもいない冬だった

みんなじぶんが主役で

みんな正しくて

揉めごとばかりがわんさかあった


この糸のさきを

だれもが放してしまった

糸のかわりに

だれもは棒で突いてきた

棒を糸だとつかんでみても

からだは痣だらけになるばかり

この糸に風が吹くのを

じっと見つめてなにかいいこと

ないんかいなと楽天的なものだった







自由詩 この糸のさきを Copyright 吉岡ペペロ 2011-03-02 00:44:13
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