[:ink]
プテラノドン

アルファベットをすらすら繋いで
バリケードを作るつもりか
それともまっさらな裸にエプロンとして下げるか
石板に刻みつけるような筆跡じゃ、筆記体と呼べないな。
そもそも筆記体を知らないけれど。
垣根だか藪だかわかったもんじゃない。
試しに足を踏み入れると、
猟銃でズドンと撃たれるかもしれない。
インクが底をついたなら、
その血を使おうと僕は思っている。
古い慣習でも生きていれば新鮮さが付き纏うから
と男は言った。監督みたいにベンチに座り
偉人たちよりも価値があるとでも言いたげだった。
でも僕はゴルフボールに夢中でそれどころじゃない。
時々考えることといったら、
季節や、仕事のこと。庭先で酒を飲みながら
友人の運転する白いベンツが来るのを待って、
そのままどこかに遊びに行くこと、
見ず知らずの女の香水をかぐのも楽しいね。
とはいえ、手帳と同様、カレンダーを埋める×印は墓標。
町一個分かインク一個に匹敵するそこに
どのような営みがあったのか。持ち主以外は知る由もない。
胸を満たす時間や誓い合ったその姿ですら
忘れているかもしれないけれど、やっぱり
掴んだ手は離さない方がいいな。ペンであれ、誰かの手であれ。
そして意味の概念の波に飲み込まれる前のその感情くらいは
言葉にしたいものだ。
鼻で笑うような単語や名前、昔もこの先も
鼻で笑うくらいの気概があるうちは。



自由詩 [:ink] Copyright プテラノドン 2011-02-27 16:12:49
notebook Home