歩いている
竜門勇気
ぜんぶでたらめな町を
通り過ぎてしまった
便利な言い訳が
頭のなかでマーチを演奏する
なにが言えたのと人たちを
笑いすぎてしまった
気の触れた駒は
行き場所がない
大事なものは
大事なとこへ
鍵をかけて
それごとなくした
大事なものを
すっぽりと覆ったまま
僕はからっぽの一部分になる
それごとなくした
そのまま今は泣くしかないか
ぜんぶ間違った選択と
ぜんぶ正しい選択と
混ざる午後の十字架
赤 睫毛 水 花火
震えないカナリヤの
やかましい兆し
泣いている今をみている
本当の孤独のかけらが
僕の中にいた
鼻白む見せかけの激情で
でたらめを燃え上がらせ
一つ残らず過去を
そのなかにくべてしまう冷たい炎と光の爆発だ
自分自在
どこへ行ったって
なにをやったって
空っぽのままだ
見せかけの自分だ
中身を失って
走り続ける靴だ
聞こえてはいけない音楽が
ずっと指先で鳴っている