さかい ひかり
木立 悟





小さな炎が鳥になり
葉の下の土を照らしている
傾く森
灰を数える


瞳に足りずに 瞳を足し
あふれるものは 金の浜になる
打ち寄せるひとつ
手のひらになる


灰も願いも 同じくころがる
居てもいいもの
居なくていいもの
どうしようもなくそこに在る


消えた言葉を仰ぎ見ていた
すべての痛みを受けると誓った
その日の夕陽を
思いおこした


空へ向かう
やさしいもの
はじまりの無い
鏡の端々


つぼみの原が
光に呑まれ
ふたたび現われ
波に揺れ


夜は満ちてはいなかった
半分がまだ明滅していた
手に手に夜の鏡を持ち
見知らぬ子どもが集いはじめた


閉じる数だけ開こうとしていた
笑みは笑みのまま
まるい棘のまま
空を静かにふちどっていた
























自由詩 さかい ひかり Copyright 木立 悟 2011-02-27 00:21:09
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