泣く寸前の色
木屋 亞万
救急法
誰かを助けてなくては
僕はもう誰も信じられないかもしれない
明日朝が来たら
いやたとえこなくたって
僕はもう明日にむかって歩き出している
待って
追いかけても背中は遠く
小さく揺れている
陽炎の中で
砂漠なのか
ここは
どうすればはっきりと物事が見える
誰もおしえてくれない
それ以前に誰もいない
待ってくれ
声も届かない
どうして良いかわからぬまま
時だけが過ぎていく
その
時すらもおぼろげで
遠く月に雲がかかる
首に巻いたスカーフに
吐く息が充満して暖かい
自分から出た湿っぽさは不思議と不快ではない
水分が
喉は乾いているが
不思議と唇は潤ったままだ
皮膚から水分を吸収する方法があれば
僕は永久機関になれただろうに
明日が滴り落ちてくる
輪郭が崩落しそうな月から
山が爆発して
砂が飛び散っている
ここは砂漠だってのに
山ほど眠る不発弾
誰だって欲求不満なのさ
愛されたい
愛して欲しい
でも何より見捨てられたくはない
何だかんだで一人のクセに