深呼吸
たもつ

 
 
少年が電話の凹凸に触れているころ
少女はまだポストの中で
封筒から漏れてくる潮騒を聞いていた

  すべてが終わったら、
  横断歩道をきれいに塗りなおそう。
  町中いたるところの横断歩道を。

そんな二人の約束事が書かれた紙は
すでに粘土よりも柔らかくなり
春が深呼吸でできていることに
気づき始めている
 
 


自由詩 深呼吸 Copyright たもつ 2011-02-24 21:48:41
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