白夜に立ち尽くす
冷えた足取りで
散り散りになった落ち葉を拾い集める
記憶を繋ぐ喪失の季節に
最愛を探す仕草だけが影を重ね
闇を深めてゆく
切り取れば
ひとつの証明にもなりそうな人型は
消えそうな声だけを追いかけて
虚空に手を伸ばしても何も掴めない
霞む朝霧の中で
もしも、と祈るいびつな五感の
すべてを捧げ尽くして
(誰よりもあいしている)と
伝えられなかった
ただそれだけが、むくわれない
永遠に
深呼吸をして
ちいさな野ばらの蕾を思い描く
瞼の裏でやわくほころぶ色彩を
すこしだけ滲ませながら
玄関に並べたしろい靴を履き
背筋を伸ばす
軽やかに開け放った扉の向うでは
行き先も知れぬ
春が待っているのだろうから