春行き列車
朧月

ほんとはね
で始まる話しは
電車が通過する風にとぎれた

あれって枯れてるのかな
ホームの外側の木を指す

一瞬
春の景色がふたりを包むから
黙って乗り込む

同じむきにゆられて
じゃあねっていうまで待ってみる
君の告白

終わったことは といいかけて
アナウンスにまた黙る
沈黙は やはり正しい

花びらみたいな桃色の
少女が立っていた
入り口付近の空気だけが
三月の風だった



自由詩 春行き列車 Copyright 朧月 2011-02-22 18:00:17
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